研究テーマ
1)固体表面の原子・分子配列と局所電子状態の解析
金属、半導体、絶縁体結晶や薄膜表面の構造および電子状態を原子スケールの空間分解能で解析します。固体表面の機能の源となる局所物性を明らかにし、ナノスケールデバイスの高性能・高機能化への応用を探ります。
【主な研究課題】
・Si表面に蒸着した有機エレクトロルミネッセンス分子の走査型トンネル顕微鏡(STM)解析
・π電子系有機分子/シリコン接合界面の極微解析と複合素子製作への展開
・SPMを用いた光触媒TiO2結晶面への紫外線照射効果の検証
・金属酸化物表面上のリチウムー炭酸プロピレン共吸着層の走査型トンネル顕微鏡による観察
・酸化チタンに吸着したジクロロベンゼンの紫外線照射効果のSTM観察
・Si表面上Geナノスケール構造の構築とSTMによる解析
・Si表面に吸着したDNA分子の非接触型原子間力顕微鏡(NC-AFM)による画像化
2)精密解析に基づいたナノスケール構造組み立てへの挑戦
NC-AFMの探針先端原子と試料原子・分子との間に働く微弱な力を解析・制御し、原子や分子を操作し組み上げる、ビルドアップ型のナノスケール構造構築に挑みます。
【主な研究課題】
・非接触型原子間力顕微鏡を用いたSi(111)表面の原子スケール観察
・ナノ力学的単結晶引上成長法による原子スケールで先鋭化したNC-AFM用探針の作製
・原子軌道の重なりに起因したNC-AFM探針-試料表面間相互作用力の精密解析
・周波数変調型原子間力顕微鏡による色素吸着TiO2(110)表面の純水中解析
・固体表面上に形成された氷結晶の原子間力顕微鏡による観察
・原子状水素によるシリコン表面のエッチング効果の非接触原子間力顕微鏡観察
・超高真空処理・ウェット処理したシリコン表面の水および原子状水素との反応性の研究
3) 新しい研究手法・装置の開発に基づいたナノスケール解析の展開
走査型プローブ顕微鏡技術をベースにした解析装置の開発、手法の確立を通じ、これまでにないアプローチ法でナノスケールサイエンスに挑みます。
【主な研究課題】
・電荷敏感型増幅器を用いた走査型プローブ顕微鏡による表面電子状態解析
・走査型プローブ顕微鏡による探針ー試料間の電気容量の計測
・電圧印加特性とエネルギー散逸特性を計測する走査型プローブ顕微鏡による表面電子状態解析
・走査型プローブ顕微鏡の高感度力センサーの開発
・探針と試料間の電子定在波を利用した表面電子状態解析
・電界イオン/電界放射顕微鏡による走査型トンネル顕微鏡用探針の調製と評価
・雰囲気制御電気炉でのルチルTiO2(110)基板上へのSiOの堆積
・間欠接触型AFMをベースにしたNC-AFMの構築とTiO2表面の液中ナノスケール観察
・酸化物表面の水中溶解・析出過程の研究
・ペンシル型プローブ顕微鏡を用いたマクロスコピック-原子スケールのシームレス解析
・ペンシル型プローブ顕微鏡を用いたゲルマニウム粒子の融解・接合・分離過程の観察
・複合型SPM-超高分解能SEMによる針先端へのW系元素微小構造の成長操作と観察